イチイの木とは?その特徴や神話との関係をご紹介!オンコの実って何?

イチイの木とは?その特徴や神話との関係をご紹介!オンコの実って何?

イチイという樹木をご存知でしょうか。垣根や盆栽によく利用される他、鉛筆や工芸品などに木材として使用されることでも有名です。果実は甘く、北海道などでは「オンコの実」と呼ばれてよく食べられています。今回はイチイの特徴や花言葉など、いろいろな情報を紹介します。

記事の目次

  1. 1.イチイ(一位、櫟)の概要
  2. 2.イチイの特徴
  3. 3.イチイの名前・別名の由来は?
  4. 4.イチイの花言葉
  5. 5.イチイと神話との関係性
  6. 6.イチイと似ている樹木
  7. 7.まとめ

イチイの名前・別名の由来は?

出典:写真AC

イチイの名前の由来には、イチイは優れた木材なので、昔は最も高い位階である「正一位」の人物が使用する笏(しゃく)も、イチイで作っていました。このことにちなんで「イチイ(一位)」と呼ぶようになった説と、イチイの木材が他の木材と比べて赤味が強い色(緋色)だったことから、「一番の緋色」を略して「一緋(イチヒ)」、転じて「イチイ」となった説などがあります。

別名の由来

Photo byBru-nO

クネニはアイヌ語で「弓の木」という意味です。これはアイヌがイチイから狩猟用の弓矢を作っていたことに由来しています。加工しやすく弾力性に富むイチイは、弓矢を作る木材としてもうってつけだったのです。笏の木は上記で触れたように、高貴な人の笏を作っていたことに由来しています。一方、あららぎや、北海道などでよく呼ばれているオンコの語源や由来ははっきりしていません。

イチイの花言葉

出典:写真AC

イチイの花言葉は複数あります。それらの花言葉とその由来を紹介しましょう。

イチイの花言葉①:「高尚」

「高尚」という花言葉の由来は、イチイの木材で身分の高い人の笏を作っていたことです。とても上品な意味の花言葉ですね。

イチイの花言葉②:「悲哀」「悲しみ」「憂愁」

Photo byPexels

非常にネガティブな意味の花言葉が続きますが、この3つの言葉の由来は1つです。日本では神社仏閣の神木として祀られることが多いイチイですが、ヨーロッパでは墓地によく植えられています。イチイは寿命が長く、年中青い葉をつけることから、ヨーロッパでは「魂の不滅性」「再生」を象徴する木と定義されていました。このことから墓地に植えられるようになったと伝えられています。

イチイを「魂の不滅性」「再生」の象徴とする考えは、古くからあったようだよ。実際に墓地に植えられているイチイの大木を調べると、キリスト教が布教する前の時代から存在していたことがわかっているんだ。

違う説もある

Photo byAlexas_Fotos

イチイを墓地に植える理由には、違う説もあります。昔は土葬が主流だったため、埋葬した遺体を狼などの獣に食い荒らされてしまうことがありました。そこで獣除けとして、強い毒性を持つ植物を墓地に植えるようになったという説です。

イチイの花言葉③:「二重に致命的」

「二重に致命的」という、これまたネガティブな花言葉は、イチイの毒性と、イチイの木材としての用途に弓矢があることに由来しています。果実以外の部分に毒性があり、誤って食べると死に至らしめる可能性があること、これが一つ目の致命傷です。そして弓矢は、戦や狩猟で人や獣に致命傷を与えます。これが二つ目の致命傷です。これらの事実から「二重に致命的」という花言葉が誕生しました。

イチイと神話との関係性

Photo byArmbrustAnna

キリスト教が布教される前の時代から不滅性の象徴とされていたイチイは、ヨーロッパの文学や神話、民間伝承などにもしばしば登場します。ただし、ヨーロッパの神話や伝承に登場するイチイは、正確にはイチイの近縁種セイヨウイチイのことです。日本では神木とされているイチイは、海外ではどう思われているのでしょうか。ここでは、神話や伝承などに登場するイチイについて紹介しましょう。

ギリシャ神話

Photo byEngin_Akyurt

ギリシャ神話に登場する復讐の女神エリニュスは、蛇の髪と血走った目、背にはコウモリの翼を持つという、恐ろしい姿をした三人の老婆です。それぞれが「止まない怒り」「嫉妬」「殺戮の復讐」を司っています。三人は手に松明を持ち、罪人をどこまでも追いかけるのですが、この松明に使用されている木がイチイです。

北欧神話

Photo byAnnaKlos

北欧神話に登場する狩猟・弓術・スキー・決闘の神ウルは、普段は「ユーダリル」という場所に住んでいます。ユーダリルは古い北欧の言葉で「イチイの谷」という意味です。イチイが弓矢やスキー板の材料とされていたことに由来しているのでしょう。

ケルト神話

Photo byaitoff

「美女に成長するが、彼女をめぐって王と戦士が争い命を落とす」と不吉な予言をされ、「災いと悲しみを招く者」という意味がある「ディアドラ」の名前を与えられた女児がいました。アルスターの王が彼女の不吉な運命を変えるべく、自らが養育し、成長後は自分の妻に迎えることを申し出ます。その後ディアドラは予言どおりの絶世の美女に成長しますが、ノイシュという戦士と恋に落ち、駆け落ちしてしまいました。

恋の悲劇から生まれたイチイ

Photo byimordaf

激怒したアルスター王は、策略を用いてノイシュをファーンマグ王イーガンに殺させます。そして連れ戻されたディアドラは王だけでなくイーガンのものにもなることが決定し、馬車の中で王とイーガンの間に挟まれて嘲笑されるという屈辱を受けました。ディアドラは自害し、その墓からイチイの木が生えます。ノイシュの墓からもイチイが生え、2つのイチイは枝を絡ませ結びついたと伝わっています。

続いて、イチイと似ている樹木を紹介!

次のページ

イチイと似ている樹木

関連記事

Article Ranking