シクラメンの植え替え
シクラメンは冬に強く夏の高温多湿が苦手なので、夏に休眠期を迎えます。休眠期はシクラメンの生育・開花に必要な栄養を蓄える大事な休息期間なので、シクラメンの植え替え時期や植え替えの方法はシクラメンの休眠期の過ごし方によって決まります。
①植え替えの時期
シクラメンは気温が15℃以上になると休眠するため、植え替えは休眠期が終わる秋に行います。ただし日中の気温が15℃以下になることが植え替えに適した気温の条件なので、寒地・寒冷地では9月頃から植え替えが可能ですが、暖地・温暖地では10月中旬~11月が植え替え時期です。
鉢植えでは1年に1度の植え替えが必要
多年草のシクラメンは、球根が丈夫であれば何年でも同じ株から花が咲きます。さすがに10年物の球根になると全体のボリュームも小さくなりますが、最初の植え付けから5年以内の球根は夏越しのたびに球根が大きくなります。そのためシクラメンは1年に1度、夏越し後に植え替えをするのが育て方の基本です。
②植え替えの方法
シクラメンの植え替えは、球根や苗の植え付けと同じく根や株を傷つけないようにすることが最大のポイントですが、それ以外にも注意しなければいけないことがあります。特に植え替えする際の土や植え替え直前の手入れなども、植え替え後のシクラメンの成長に大きく関係します。
植え替えの土・肥料は新しくする
シクラメンの植え替えでは、夏越しした球根を傷つけないように取り出すことはもちろん重要ですが、球根や根についた古い土を落としきる作業も重要です。これは植え替えする鉢の用土も同じで、新しい土に植え替えたほうが花の付き具合がよく丈夫に育つ傾向があります。
植え替え用の鉢は植え替え前よりワンサイズアップ
植え替え用に準備する鉢の大きさは、植え替え前に使っていた鉢の大きさよりもワンサイズ大きいものを準備しましょう。特に最初に球根で植え付けてから5年以内の若いシクラメンは成長スピードが速いので、シクラメンを大きく育てるためにも、新たに植え替えする鉢は植え替え前よりもひとまわり大きい鉢にしましょう。
シクラメンの増やし方
栽培できる花が少ない冬の時期にさまざまな色の花を長く咲かせるシクラメンは、夏越しを繰り返せば何度でも同じ株で花を楽しめます。ただし夏越し・植え替えでできるのはボリュームアップであって、シクラメンの増やし方は夏越し・植え替えとは別の方法で行います。
シクラメンの増やし方は「種」
シクラメンの増やし方の基本は「種」です。まれにこぼれ種から発芽するということもありますが、通常の増やし方はこぼれ種とは違い複雑な作業と管理が必要です。そのため種からの増やし方は初心者には難しいですし、栽培知識と経験がなければ種から発芽させることも難しいでしょう。
種から増やすには人工授粉が必要
シクラメンの種からの増やし方が難しい理由は、増やすための種を作るのに人工授粉が必要だからです。しかも人工授粉させるのは異なる2種類の株でなければいけませんし、種まき後も発芽までに1か月以上かかります。そのため種での増やし方は、栽培レベルが中級以上になってからチャレンジしてみましょう。
挿し木の増やし方は?
ガーデニングで人気の植物には、剪定した枝や茎などを挿し木にする増やし方があります。シクラメンもボリュームを抑えたり花後の処分などで茎を剪定することがありますが、剪定した茎を挿し木にする増やし方は失敗することも多く、中級レベル以上でも確実に増やせる増やし方とはいえません。
株分けは?
1株から多くの茎と花を咲かせる花では、株分けによる増やし方が一般的です。株分けの増やし方のメリットは同じ遺伝子を持つ花が増えるので、品質のよい花を効率よく増やすことができます。ただし株分けでの増やし方ができない花もあり、シクラメンも「株分けでの増やし方ができない花」に分類されます。
シクラメンが株分けできない理由
球根で成長する花の中には株分けができる種類が多いのですが、球根から株分けするには「親球に子球がつく」という条件を満たす必要があります。親球と子球は同じ遺伝子を持っているため同じ特徴を持った花を増やすことができますが、シクラメンの球根には子球がないため、球根からの株分けができません。
まとめ
多年草のシクラメンは寒さに強くボリュームのある品種が多く流通していますが、室内栽培にもおすすめなミニサイズや香りが特徴の品種もあるため、栽培目的や好みで選べるのも魅力です。栽培レベルはやや高めですがコツがわかれば長い期間花が楽しめるので、あなたもぜひシクラメン栽培にチャレンジしてみませんか?