ストロベリーキャンドルについて
ストロベリーキャンドルは、春によく見かけられるクローバーによく似た植物です。育て方や増やし方が簡単で、初心者でも上手に育てられます。手入れ次第で長期間花を楽しめるため、ガーデニングで人気の植物です。
基本情報
園芸部類 | 草花 |
形態 | 一年草 |
樹高 | 20~50cm |
花の色 | 赤、白 |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 弱い |
栽培難易度 | ★☆☆☆☆ |
原産地
ストロベリーキャンドルの原産地は、ヨーロッパ~西アジア周辺です。日本には明治時代に牧草として輸入されましたが定着せず、現在はおもに観賞用として流通しています。
名前の由来
ストロベリーキャンドルはシロツメクサ(クローバー)の仲間で、和名はベニバナツメクサです。クリムソンクローバー、ストロベリートーチともいいます。苺のような赤い花色で、細長い形がろうそくに似ているところから、このような別名がつけられました。学名は「Trifolium incarnatum」です。
葉と花穂
ストロベリーキャンドルの花穂は楕円~円柱形です。花穂は小さな花が集まって形成されており、花の奥にある種は花後の乾燥した状態ですでに結実しています。花穂の色は赤花が主流ですが、白花もあります。葉はクローバーによく似ていますが、紋が入らず緑1色です。
特徴
暑さで枯れる
ストロベリーキャンドルは暑さに弱いのが特徴です。本来は多年草ですが、日本では夏の暑さで枯れてしまうため、一年草として扱われています。夏の暑さを上手に避けられれば、夏越しできる場合があります。
強い耐寒性
ストロベリーキャンドルは、耐寒性があります。ストロベリーキャンドルの花が咲くためにはある程度の寒さが必要なので、外の気温が-2℃以下でなければ冬でも外で育てましょう。極端に寒くなる場合は室内の日当たりのよい場所に置いたり、霜よけをしたりします。
連作障害がない
マメ科の植物は連作障害が起きやすいという特徴があります。しかし、ストロベリーキャンドルはマメ科の植物であるにもかかわらず連作障害が起こりません。特に土壌改良しなくても、翌年以降も同じ場所でストロベリーキャンドルを栽培できます。
緑肥植物
ストロベリーキャンドルは緑肥植物です。マメ科の植物は根に共生している根粒菌(こんりゅうきん)が窒素を合成できる特徴があり、次の作物のための肥料として適しています。
緑肥植物とは
緑肥植物とは、枯れた花や枝葉を処分せずにそのまま寝かせておいて、次に同じ場所で栽培する作物の肥料として混ぜ込める植物のことです。れんげ草、ひまわり、とうもろこしなども緑肥植物です。
ストロベリーキャンドルの育て方
地域による育て方の違い
ストロベリーキャンドルは、地域によって種まきの季節が違います。一般的な地域では、夏の暑さの落ち着いた秋(10月頃)に種まきをして、次の春に開花時期を迎えます。北海道などの寒い地域では、夏の暑さの影響を受けにくいため、夏(8~9月頃)に種まきをしましょう。次の春~初夏が開花時期です。
育て方①栽培場所
ストロベリーキャンドルが好むのは、日当たりと風通し、水はけのよい場所です。成長すると50cmほどにも伸び、さらに横にも広がりやすいため、広い場所を選んで育てましょう。
育て方②土づくり・追肥
ストロベリーキャンドルは、成長に必要な窒素を合成できるため痩せた土を好みます。地植えの場合は元肥も追肥も必要ありません。プランターや鉢植えの場合は、元肥として遅効性の肥料や液肥を少し混ぜ込みましょう。成長が気になる場合や剪定した後にひとつかみ追加する程度にします。肥料を入れすぎると、根腐れの原因になるため気をつけましょう。
育て方③種まき
種は気温20~25℃くらいで発芽します。種が小さいので穴は掘らず、バラバラにまいた種の上に土を薄くかぶせる程度にしましょう。
育て方④間引き
種が発芽して株が込みあっている場合は、本葉4~5枚程度になった頃に間引きします。勢いのある株を残し、成長の遅い株を間引きましょう。根が傷つきやすいため、株の根元の土を少しほぐすと根が切れにくく、上手に間引けます。プランターや地植えの場合、間引き後の株と株の間は30cm以上あけ、鉢植えなら1鉢1株にします。
育て方⑤水やり
水やりは、種まきからある程度苗が大きくなるまでは、土が乾燥しないように気をつけながらします。種が小さいので水で流されないように、優しく水を与えましょう。地植えの場合、根づいた後はあまり水やりの必要はありません。鉢やプランターの場合は、土が乾燥しすぎないように、表面が乾いたら水やりをします。
ストロベリーキャンドルの管理
移植について
ストロベリーキャンドルは、苗の移植を嫌います。できるだけ植え替えせず、同じ場所で育てましょう。
剪定のタイミングとポイント
ストロベリーキャンドルの剪定はとても重要です。剪定することで風通しをよくしたり、株全体に栄養をいきわたらせたりすることができます。
①温度や湿度が上昇する時期
梅雨など温度や湿度が上昇する時期は、蒸れて株が腐りやすくなります。風通しがよくなるように、全体的にすっきりと枝葉を剪定しましょう。
②つぼみがあまりつかなくなったとき
ストロベリーキャンドルの花がたくさん咲いた後や、背丈が急激に伸びた後は栄養が不足します。つぼみがつかなくなったり葉が黄色く変色したりした場合は、不要な枝葉を剪定し肥料を少し入れると、つぼみがつきやすくなります。
花がら摘み
咲き終わった花は、結実のための栄養が必要です。種を取らない花がらは早めにはさみで摘み取ると、栄養を無駄にせず長い間花を楽しめます。
病気と害虫
ストロベリーキャンドルは丈夫な植物で、病気の心配はありませんが、春に種まきをするとアブラムシやハダニがつく場合があります。放っておくとどんどん増えるので、見つけたら早めに取り除きましょう。
増やし方
ストロベリーキャンドルの一般的な増やし方は、咲き終わった花がらから種を取って増やす方法です。自生している場合、風などで落ちたこぼれ種から芽がでて、自然に増えます。
種のとり方
種をとる場合は、こぼれないように注意しながら早めにはさみで花を摘み取り、袋に入れ軽くもみます。とった種は日陰で乾燥させて保存しましょう。
ストロベリーキャンドルの楽しみ方
赤い絨毯
ストロベリーキャンドルは広い場所でたくさんの株を育てると、開花したときに赤い絨毯を敷いたように見えます。田畑などの休耕地での栽培には特におすすめです。
寄せ植え
ガーデニングでおすすめなのが、さまざまな植物との寄せ植えです。ストロベリーキャンドルは大きくなりやすいので、組み合わせる植物とのバランスを考えながら配置しましょう。
ドライフラワー
赤い花穂は風通しのよい場所で逆さに吊るしておくと、水分が抜けてドライフラワーになり、季節を問わず楽しめます。直射日光があたると花の色が抜けやすいので、日陰に吊るしましょう。
ハーブ
ストロベリーキャンドルにはたんぱく質が含まれていて、花や葉をハーブとして料理に利用できます。花の奥には上質の蜜があり、クローバーはちみつとしても有名です。花は生のままでハーブティーや料理の飾りに、葉は塩茹でしてスープやサラダに使いましょう。
まとめ
ストロベリーキャンドルは手入れや増やし方が簡単で、ガーデニングをするのにおすすめな植物です。寄せ植えやドライフラワーなど、さまざまな方法で楽しんでください。