七草粥の「七草」って何?いつ食べる?意味・歴史や作り方もご紹介!

七草粥の「七草」って何?いつ食べる?意味・歴史や作り方もご紹介!

日本には、正月のあとに七草粥を食べる風習があります。七草粥は、日本に古来からある風習と中国の風習が融合してできた行事食です。この記事では、七草粥に使われる七草の種類や七草粥の歴史、食べる時期、作り方などを見ていきましょう。

記事の目次

  1. 1.七草粥は日本の行事食のひとつ
  2. 2.七草粥の七草って何?
  3. 3.七草粥はいつ食べる?
  4. 4.七草粥の歴史
  5. 5.七草粥の作り方
  6. 6.七草粥で一年の健康を祈ろう

七草粥は日本の行事食のひとつ

出典:写真AC

冬に七草粥を食べる風習は知っていても、どの時期に食べるのか、なぜ食べるのか、七草とは何を指すのか、詳しくはわからないという場合もあるでしょう。七草粥は、冬至のカボチャや年越しのお蕎麦と同じように、古来、自然の恵みに感謝して食べられてきた行事食です。七草粥の歴史や食べ方を知ることで、日本の食文化をより身近に感じられますよ。

行事食とは

行事食とは、季節の節目やお祝い事で食べる特別な料理のことです。行事食はその時期に採れる旬の食材を使い、家族の健康や幸せを願って作られてきました。代表的な行事食には、正月のお節や雑煮、節分の福豆、端午の節句の柏餅、月見の団子などが挙げられます。

七草粥の七草って何?

出典:写真AC

七草粥の材料には「春の七草」と呼ばれる野菜や野草を使います。古来、日本には年の初めに雪の間から顔をのぞかせた若い草を摘む「若菜摘み」という風習がありました。七草粥に春の七草を使う理由は、雪に覆われた大地から生命力のある草を摘み食すことで、邪気を払い健康になると信じられてきたからでしょう。若菜摘みの風習は、百人一首にも選ばれている光考天皇の歌にも詠まれています。

君がため 春の野にいでて若菜摘む わが衣手に雪は降りつつ

この歌を現代の言葉で訳すと、「あなたに差し上げるために初春の野に出て若菜を摘んでいる。その私の着物の袖にしんしんと雪が降り積もっていることよ」という意味になります。雪の降りしきる寒い野山で、好きな人の健康を祈りながら若菜を摘んでいるようすが絵画的に描かれた歌ですね。

春の七草に数えられる植物

Photo by ketou-daisuki

春の七草に数えられる植物は、いにしえより日本人の生活に寄り添ってきた薬草でもあります。これらの七種類の食材は冬の貴重な栄養素として重宝されてきました。栽培のしやすさはもちろん、野草としても手に入りやすく、かつ滋養があることから頻繁に食されてきたのでしょう。縁起のよさを連想させる名前も、行事食としては大切な要素のひとつです。

植物①セリ

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セリは日本原産の多年草で、名前が「競り勝つ」に通じるため縁起のよい食べ物といわれるようになりました。セリはあぜ道や湿地などに自生しているほか、野菜としても育てられています。独特の苦みと歯触りがあり、特に野草のセリは香りがとても強いのが特徴です。野菜として市場に出回っているセリは香りが穏やかなものが多く、食べやすくなっています。

植物②ナズナ

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ナズナは田畑やあぜ道、空き地などに自生している越年草です。ナズナは「なでて汚れをはらう」とされ、縁起ものとして扱われるようになりました。白い花と三角形の果実が特徴で、三角形の果実はうまく引っ張ると薄皮一枚残して茎からぶら下がります。すべての果実をぶら下げた状態で花茎を回すとぺんぺんと軽やかな音を立てるため、ペンペン草とも呼ばれるようになりました。

植物③ゴギョウ

ゴギョウは正式名称を「ハハコグサ」と呼びます。道端や畑など日当たりのよい場所にみられる越年草で、全体が白く見える草姿と黄色の花が特徴です。ゴギョウは「仏の体」に通じるといわれており、縁起がよいとされてきました。また、現在ではヨモギで作られる草餅も、江戸時代以前ではゴギョウを練り込んで作られることが一般的だったといわれています。古くから日本人に親しまれてきた植物といえるでしょう。

植物④ハコベラ

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ハコベラは、道端や畑に自生するナデシコ科の植物です。「繁栄がはびこる」という意味に通じるため、縁起がよい植物とされています。古くから、ハコベラは茎を湯がいてお浸しにしたり、雑炊の具にしたりなど食用として利用されてきました。また、茎と葉を粉末にしたものと塩を混ぜたものは「ハコベ塩」と呼ばれます。口臭予防や歯槽膿漏の予防として歯みがき粉のように使用されました。

植物⑤ホトケノザ

春の七草の「ホトケノザ」は、「コオニタビラコ」という植物のことです。紫色の花をつける現在のホトケノザとは違う植物のため注意してください。コオニタビラコはキク科の越年草で、ロゼット状に開いた葉の様子が仏の連座のように見えることから通称「ホトケノザ」と呼ばれるようになりました。鮮やかな黄色の花が特徴で、食用になるのは若い葉の部分です。

ボタニ子

ボタニ子

「ロゼット状」ってどういう状態のこと?

ボタ爺

ボタ爺

地面から直接葉が生えている状態のことじゃよ。葉が放射線状に広がっていることも特徴のひとつじゃ!

植物⑥スズナ

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スズナは、現在のカブのことを指します。実の形が鈴に見えることから「神さまを呼ぶ鈴」とされ、縁起ものとして扱われるようになりました。スズナは根と葉にそれぞれ滋養があり、冬の貴重な栄養源として重宝されてきたといわれています。七草粥でスズナを使うときは、葉までしっかり入れるとよいでしょう。

植物⑦スズシロ

フリー写真素材ぱくたそ

スズシロは、現代でいうダイコンのことです。食用となる根の部分の白さから「穢れのない白」を表すとされ、縁起がよいといわれるようになりました。古くからダイコンには毒消しの効果があるといわれており、焼き魚の大根おろしや刺身のツマに使うのはそのためです。また、ダイコンに含まれているジアスターゼは消化を促し、疲れた胃を休める効果があります。正月の料理や酒に疲れた胃にはぴったりの材料ですね。

七草粥はいつ食べる?

出典:写真AC

七草粥は、通常は1月7日の朝に食べる行事食です。この1月7日という日付は適当に決められたものではなく、この日でなければならない意味があります。七草粥を食べる時期の由来は、古代中国の考え方が元となりました。

人日(じんじつ)の日

Photo by Spiegel

中国では、正月の1日目を鶏、2日目を狗(イヌ)、3日は猪、4日を羊、5日は牛、6日は馬とそれぞれに動物をあてはめていました。吉凶を占うとともに、その日は殺生しないように厳しく戒めたといわれます。7日目は「人の日(人日)」で、人を大切に扱う日です。人びとはこの日に七種類の野菜を入れた温かい汁ものを飲み、無病息災を祈りました。この伝承が日本に伝わり、七草粥として定着したといわれています。

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七草粥の歴史

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