アンディーブとは
アンディーブとはヨーロッパ原産のキク科キクニガナ属の野菜のことで、別名チコリとも呼ばれます。アーティチョークやビーツなどと同様に日本ではまだ珍しい存在ですが、ヨーロッパでは日常的に食べられています。属名からわかるように苦みがありますがクセが少なく、生でサラダにしたり煮込み料理にしたりするなど、使い方はさまざまです。
英語とフランス語で呼び名が違う
この記事で紹介しているのは、フランス語で「Endive(アンディーブ)」英語で「Chicory(チコリ)」を意味するもので、白菜のような見た目をしている野菜です。しかしフランス語の「Chicorée(チコリ・シコレ)」は英語で「Endive(エンダイブ)」といい、フリルレタスのような見た目をしている全く別の野菜を意味します。
ボタニ子
アンディーブの特徴
①形
アンディーブは、白菜を小さくして先をとがらせたような形をしています。日本では、レタスやキャベツのように結球するタイプが主流ですが、小松菜やチンゲンサイのように結球しないタイプのアンディーブも存在します。葉が幾重にも重なっているように見えますが、実はそれは葉ではなく軟白栽培されて育った「芽」です。
軟白栽培とは何ですか?
軟白栽培は、野菜の茎や葉を白く軟らかく育てることをいい、別名「軟化栽培」とも呼ばれています。硬さや味を軟らかくまろやかにするための方法のひとつです。野菜を光に当てずに育てるため、クリーム色や白色に育つのが特徴です。通常では硬すぎるものや苦すぎるものには、この栽培方法が好んでとられています。
②味と歯ごたえ
アンディーブはタラの芽やフキのような苦みと、軟らかな歯ごたえが特徴の野菜です。もともとは苦みがかなり強く噛み応えのある野菜でしたが、そのままでは食べにくいこともあり、軟白栽培によって苦みと硬さが抑えられました。独特の苦みはありますがクセは少なく、生ならシャキシャキ感を、加熱調理するとトロッとした食感を楽しめます。
③色
日本で流通しているアンディーブは、乳白色で縁が淡い緑色をしているものが多いです。縁が赤い色のものもありますが、アンディーブの多くは全体的に白っぽい色をしています。その理由は、苦みを抑えるために軟白栽培されるため、遮光により葉緑素が作られないからです。
ボタニ子
アンディーブが白っぽい色をしているのには、きちんと意味があったんだね!
④花
アンディーブはとう立ちすると花を咲かせます。花色は透明感のある鮮やかな水色で、デイジーのような見た目がかわいらしく、観賞用としても人気です。開花時期は5月~9月までと長く、苦みは強いですが花も食べられます。とてもきれいな花で、エディルフラワー(食用の花)として料理に使うと、食卓が華やかになっておすすめです。
ボタ爺
芽を収穫するのが目的なら、花が咲く前に収穫しなくちゃいかんのじゃ。気をつけるんじゃよ!
⑤栄養素
アンディーブは「栄養野菜」とも呼ばれるほど栄養豊富です。食物繊維、タンパク質、カリウム、カルシウム、ビタミンC、ビタミンB、炭水化物、カロテンなど、体に必要な成分がバランスよく含まれています。苦み成分には体を冷やす働きがあり、解熱や解毒、炎症の抑制、熱中症予防などに役立ちます。
アンディーブの旬の季節と主な産地
旬の季節
アンディーブは輸入物も多く季節を問わず通年流通している野菜ですが、旬の季節は「冬」です。近年は国内でも栽培されることが増えてきました。国内産のアンディーブは12月ごろに旬を迎え、食べ頃は3月ごろまで続きます。まだ日本では珍しく値段が高めの野菜ですが、旬の季節には価格が下がり手に入れやすなります。
ボタニ子
アンディーブは芽を食用とする野菜だから、暖かな春に向けて栄養を蓄える冬が旬の季節なんだね!
ボタ爺
ちなみに「エンダイブ」の旬の季節も冬なんじゃよ!鍋に入れてもおいしそうじゃのう!
主な産地
アンディーブはヨーロッパ原産の野菜で、主な産地はベルギーやオランダです。比較的涼しめの地域でよく育ち、25℃以上の暑さを苦手とするため、冷涼な地域で栽培されています。日本では北海道などで栽培されていますが、岐阜県には「チコリ村」があるほど栽培が盛んで、日本一の収穫量を誇っています。
ボタニ子
次は、アンディーブを使ったおすすめのレシピを紹介するよ!
日本では白菜のような見た目のものを「チコリ」、フリルレタスのような見た目のものを「エンダイブ」と呼ぶことが多いよ!