フサスグリの育て方
フサスグリってどんな木?
フサスグリはユキノシタ目スグリ科スグリ属の落葉性低木で、高さは1.5mほど。日本人女性の平均身長で換算すると、だいたい目のあたりの高さになります。以前はユキノシタ科に分類されていましたが、最近の研究では独立したスグリ科に分類されるようになりました。原産地はヨーロッパです。
花や実のなる時期は?
フサスグリの花
晩春から初夏の4~5月に小さな黄緑色の花を咲かせます。花びらは5枚。花すぐりとも呼ばれます。自家受粉ができるので受粉木を用意したり、人工受粉をする必要はありません。
収穫の時期
花が咲いて無事受粉すると、6月から7月にかけて収穫の時期を迎えます。日本ではちょうど梅雨から暑い時期になるので、地域によっては実が傷みやすく注意が必要です。茶色く変色した実は食べられません。無事に収穫できた実も冷蔵庫の中で一週間ほどしか持たないので、早めに食べるかジャムに加工する必要があります。
フサスグリを植える場所
寒さに強いが暑さには弱い
もともと冷涼なヨーロッパに分布していた果樹なので、寒さには強いですが暑さにはあまり強くありません。日本での生産地も北海道や宮城県以北の東北地方、あとは長野県の高地など夏が比較的涼しい地域です。
どんな場所に植えるのがよいか
暑さには弱いのですが日光が当たらないと結実しないので、北海道・東北以外の地域では午前中だけ日が当たって午後は日陰になるような半日陰に植える必要があります。暑い日の蒸れには強くないので、風通しのよい場所を選びます。
フサスグリの手入れ
初心者でも育てやすい
植える場所さえ気をつければ、あとはあまり手間がかからないので初心者でも育てやすい果樹ですが、鉢植えでも地植えでも土が乾ききってしまわないように適度な水やりが必要です。夏場は昼間に水分が蒸発して蒸れるのでで、夕方に行います。
植え付け
12月から3月ごろの冬の期間が植え付けによい季節ですが、その前後2ヶ月程度の間に植えても結構根付きます。堆肥に油かすなどを混ぜた有機質の肥料を施してから、苗の根は崩さずにそのまま植えるのがコツです。庭植えでも夏場に乾燥するような場所では、マルチングが必要になります。
剪定
剪定は込み合った枝や、元気のない枝を間引く程度でよいのですが、株元から出てくるシュートは4年目以後に花のつきが悪くなるので4年目に切り戻しをするか、実のついた枝を冬ごとに切り落とします。果実の重みで枝が下がってしまうことがあるので、外側の枝は内側についた芽のすぐ上で切り戻すと枝が上に伸びるようになります。
肥料
肥料は3月ごろに寒肥として速効性の化成肥料や牛糞、油かすなどの有機肥料を施します。収穫後のお礼肥にも有機肥料を与えるようにします。
挿し木で増やせる
種を蒔いて育てることもできますが、時間がかかるので6月ごろに挿し木で増やすのが手っ取り早いです。その年に出た枝を挿し穂として、直射日光があたらない涼しい場所に置きます。うまくいくと1ヶ月ほどで根がでるので、しばらくポットで育成したあと定植するようにします。
まとめ
カラント(カーラント)とは干しブドウのこと
ギリシャのペロポネソス半島の付け根にあるコリントス周辺で栽培されていた「コリント」という小粒のブドウを干したものとその実が似ていたことから、フサスグリを「コリント」と呼んでいました。その後、ギリシャ語から英語へと伝わるあいだに「カラント」「カーラント」と母音が変化したものです。
北海道では「カリンズ」と呼ばれる
明治時代、北海道に最初の栽培用フサスグリが持ち込まれました。このときに「コリント」と呼ばれていたものが「カリンズ」と発音されるようになり、今でも現地に伝わっています。「コリント」の「コ」はもともと「カ」と「コ」のあいだの音ですし、最後の「ト」の音は英語の「TH」なので「THE」が実際には「ザ」と「ダ」の中間の音、「THREE」が「ス」と「トゥ」の中間の音と考えると、「TH」が「ズ」になったのも自然なことです。
フサスグリに魅せられて
このように可愛らしく、美しいフサスグリなので、ぜひとも自分で育ててみることをおすすめします。日々語りかけながら水やりをしたフサスグリに赤い実がなった時のことを想像してみてください。「新しい経験」「幸せの訪れ」「私はあなたを喜ばせる」というフサスグリの花言葉が現実のものとなります。
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