オカワカメ(雲南百薬)の概要
オカワカメとは、ツルムラサキ科アカザカズラ属の半常緑性のつる性多年草です。熱帯アメリカおよび熱帯アジアを原産地としています。詳しい時期は不明ですが、中国から薬草として伝来したという説があります。寒さに弱いですが、暖地なら工夫次第で冬越しも可能です。西日本では雑草として繁殖している場所もあるほど、丈夫な植物でもあります。
名前の由来
オカワカメは「陸わかめ(おかわかめ)」、つまり陸のワカメという意味です。茹でた葉がワカメのような食感になることから、名づけられました。このほか「雲南百薬」「アカザカズラ(藜蔓)」「ぬるっぱ」「わかめ菜」などの別名があります。「雲南百薬」は、中国から「長寿の薬草」として伝わったことに由来しています。「わかめ菜」はオカワカメと同じく、ワカメに似た食感からついた名前です。
「ぬるっぱ」は沖縄県での呼び名です。茹でた葉がヌルヌルしていることに由来しているといわれています。
オカワカメの属名のアカザカズラは、正式和名でもあるんだよ。
おもな生産地
オカワカメは寒さにさえ気をつければ、これといった弱点がなく丈夫で育てやすい植物です。葉がよく茂るつる性植物であることから、グリーンカーテン作りにもよく利用されています。野菜としての生産地は沖縄県や九州地方など、温暖な地域が有名です。しかし、オカワカメの野菜としての知名度は低く、あまり流通していません。
ただし、近年はオカワカメが持つ栄養価の高さや効能から、健康食品として注目されるようになりました。
野菜として作る産地も増えているよ。沖縄県や九州地方のほかにも、三重県や山梨県、長野県などでも栽培されるようになったんだ。
ツルムラサキとの違い
オカワカメはツルムラサキ科の植物です。このため、両種はとてもよく似ています。食用にできて、しかも栄養豊富な野菜である点や、葉を茹でるとヌメリが出る点なども同じです。ただし、味に関しては少し違いがあります。ツルムラサキは独特のクセがありますが、オカワカメはクセが少なくて食べやすいといわれています。
オカワカメの特徴
特徴①葉を茹でるとワカメの食感
オカワカメの最大の特徴は、葉を茹でると、ワカメのような粘り気が出ることです。このことが名前の由来にもなっています。葉には厚みと弾力があり、コリコリした食感が味わえます。これもワカメに似ている点です。この特徴や名前から海藻類に間違われることもありますが、オカワカメは野菜です。間違えないように注意しましょう。
特徴②葉の生食は推奨できない
オカワカメの葉は生食も可能です。しかし青臭さや苦味が強いため、あまりおすすめできません。茹でたり、湯通ししたりどするなど、加熱して食べるのが基本です。さっと湯通しして、ポン酢や好みのドレッシングをかけるだけでもおいしいですよ。
特徴③ほぼ全部食べられる
多年草のオカワカメは球根があり、茎の節にはむかごができます。オカワカメは葉だけでなく、球根、茎、むかごと、つる以外の部分が食用可能です。茹でた葉の食感がワカメにたとえられるのに対して、球根やむかごは「山芋に似た食感」といわれています。天ぷらなどの揚げ物や炒め物にするとおいしいですよ。山芋と同じようにすりおろして、とろろ芋にするのもおすすめの食べ方です。
特徴④グリーンカーテンになる
つる性植物のオカワカメは、グリーンカーテンにもよく利用されています。暑さ、病気、害虫に強いので、ほとんど手間がかかりません。寒冷地以外なら問題なく育ちます。つる以外の部分が食べられる点も魅力的ですね。
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出典:写真AC