シャボンソウとは
シャボンソウ(別名:サポナリア)は、明治時代に渡来したといわれるナデシコ科の植物の総称です。素朴な花を咲かせることから、園芸用として人気の花です。高い耐寒性を持ち、生命力が旺盛なため、初心者にも育てやすくおすすめです。また、こぼれ種で増えやすいため、野生化しているものも街中で多く見られます。
学名 | Saponaria |
和名 | サポナリア |
草丈 | 30~90cm |
原産地 | ヨーロッパ・アフリカ |
分布 | 日本全土・アジア・ヨーロッパ各地 |
最大の特徴は泡立つこと
ペットボトルに入れて振るとこんな感じになります。 pic.twitter.com/9REy2n9Wx9
— NPO日本コミュニティーガーデニング協会 (@npojcga) August 22, 2019
シャボンソウには、泡が立つという大きな特徴があります。少量の水と一緒にもむと、どんどん緑がかった泡が出てきます。また、空き容器に入れて振るだけでも簡単に泡立ちますので、子供のおもちゃにもぴったりです。ただしそのときには、目に入らないように注意が必要です。ペットボトルなど、蓋ができる容器を使うようにしましょう。
名前の由来は石鹸
#風のガーデン 第7話より
— NOHAL (@positivenoharu) August 11, 2017
「サポナリア・オフィシナリス ロゼア」
花言葉は「風呂上りの若妻」
ガーデンに入って、最初に見つけた花です(^^) pic.twitter.com/VGXpaCwmZu
シャボンソウという名前の由来は、石鹸です。シャボン玉のシャボン、というと、ピンと来やすいでしょうか。別名であるサポナリアも、ラテン語で石鹸を意味する『sapo(サポ)』から来ています。特にヨーロッパでは、古くから根が石鹸として使われてきました。
花言葉は「清廉」「賢明な行動」
シャボンソウの花言葉は、「清廉」「賢明な行動」などです。「清廉」はシンプルに、石鹸の清潔なイメージに由来しています。一方の「賢明な行動」ですが、これはシャボンソウの魚毒性に由来します。『泡立てた後の液体を魚が住むところへ流すような愚かなことをせず、賢明な行動を心がけよう』という意味が込められています。
毒性があるので要注意
シャボンソウを扱う上で最も気をつけなければいけない特徴は、シャボンソウは有毒であるということです。触れた程度では特に影響はありませんが、粘膜を傷つけやすいため、もんだ後の液体が目に入らないように気をつける必要があります。また、魚にとっては猛毒であり、エラを傷つけて呼吸を止めてしまいます。
名前の由来が同じサポニンが含まれている
シャボンソウの毒性は、生の大豆などと同じく、サポニンという物質です。サポニンと言うと、名前からピンとくる人もいるかもしれません。そう、シャボンソウの別名サポナリアと同じく、ラテン語の「sapo(石鹸)」に由来しています。サポニンには泡立つ性質がありますから、シャボンソウの泡立つ特徴と毒性は、同じ物質に由来しているのです。
シャボンソウの手作り石鹸
家庭で簡単に、シャボンソウの液体石鹸を作ることができます。シャボンソウの根を、茎などとともに30分以上煮出し、冷めたらザルでこすだけで出来上がりです。使う前によくかき混ぜると、きめ細かい泡が全体に広がります。ただし、子供やペットが飲み込んでしまったり目に入ることがないよう、十分気をつけてください。
博物館などでも利用されている
このシャボンソウの液体石鹸は、なんと現代でも利用されています。博物館などで、貴重な反物や骨董価値の高い繊維を洗う際に使われています。理由の一つには、通常の石鹸より生地が傷みにくいことが挙げられます。そしてなにより、織物の色を鮮やかに蘇らせる特徴を持っています。また、市販されている自然派シャンプーなどに含まれていることもあります。
ボタニ子
シャボンソウってかわいい花をつけるから、庭に植えてみたいな。でも、私でも育てられるかな?
シャボンソウの育て方
シャボンソウには、大きく分けて一重咲きの品種と八重咲きの品種があります。野山に咲いているのは主に一重咲きの品種で、八重咲きの品種は主に園芸用として流通しています。寒さに極めて強く、非常に丈夫で、しかも繁殖力が旺盛です。初心者でも比較的育てやすい植物です。
生命力が強く育てやすい
シャボンソウの育て方には、特別難しい点はありません。なぜならシャボンソウは非常に生命力が強い植物だからです。特に冬の寒さには極めて強いので、霜よけさえしておけば冬の間でも放っておいて大丈夫でしょう。夏の暑さにも比較的強いので、少々の暑さでも立派な花をつけてくれます。また、害虫や病気にも強いのもありがたい点ですね。
日当たりのよさは必須
シャボンソウは、日当たりのよい場所が大好きです。半日陰程度でもすくすくと育ちますが、どうしても花の数が減ってしまいます。きれいな花を沢山つけようと思うと、やはり日当たりがいい場所に植えるのがおすすめです。大きくなりやすいので地植え向きですが、鉢植えでも栽培は可能です。ただしその場合、根を傷つけないように大きめの鉢を使う必要があります。
水はけのよい土を使う
シャボンソウの植え付け時期は、3月から4月にかけての暖かくなりはじめた時期です。シャボンソウは水はけのよい用土を好むので、赤玉土3:腐葉土2の割合で混ぜたものがおすすめです。また元肥として、油かすか緩効性の化成肥料を少量加えてください。市販の園芸用培養土をそのまま使用するのも手軽ですね。
絶対に魚の近くに植えないこと
シャボンソウのサポニンには、魚毒性があります。したがって、魚を育てている近くに植えてはいけません。特に、小型の魚であるメダカや金魚の場合は、水槽に近づけるのも避けるべきでしょう。また、サポニンは根に多く含まれますから、鯉池なども気をつけてください。
大きくなりやすいので支柱が必要
シャボンソウは生命力が旺盛なため、育て方によっては大きくなりやすい植物です。しかし茎はそれほど太くないため、自重や風で倒れてしまうことが多くあります。そこで、早めに支柱を立てる必要があります。特に開花時期にはどんどん横に広がっていくため、注意が必要です。
シャボンソウの育て方の注意点
水やりは控えめ
シャボンソウは乾燥に強いため、水やりはほとんど必要ありません。むしろ、あげすぎると根腐りや病気のもとになってしまいます。特に地植えの場合は、基本的に水やりの必要はありません。鉢植えの場合でも、表面が乾いたときだけあげる程度で十分です。ただし、地植え・鉢植えを問わず夏場だけは、朝夕の涼しい時間帯にたっぷりと与えてください。
鉢植えの場合は植え替えが必要
シャボンソウは、地上部だけではなく根も大きくなりやすい植物です。そのため、鉢植えにすると、中で根がいっぱいになって根詰まりを起こしてしまうことが多いです。そのため、年に一度は大きな鉢に植え替えをして上げる必要があります。株分けも簡単なので、大きな鉢がない場合は分けてあげるといいですよ。
枯れた花は切り落とす
シャボンソウの花を長く楽しむコツは、枯れた花を摘んでいくことです。栄養が次の花に行くので、最後まで楽しむことができます。花穂の下で切るのが一番確実ですが、側枝が出ている場合は、その上で切り戻すと次の花がつきやすくなります。なお、種を採取したい場合は、切り落とさずにそのまま残しておいてくださいね。
まとめ
シャボンソウは、小さな花をたくさんつけるかわいらしい植物です。もむと泡立つ特徴を持つため、昔から現在まで、多くの地域で石鹸として利用されてきました。生命力が旺盛で育てやすいため、初心者のガーデニングにもおすすめの花です。ただし、魚の近くで栽培することだけはないように気をつけましょう。
出典:写真AC