冬の食べられる野草5選
キクイモ
開花時期 | 9月~10月 |
旬の時期 | 11月~3月 |
キクイモ(菊芋)は、根の部分を食用とする北アメリカ原産の植物です。秋に菊に似た花を咲かせ、晩秋~冬に肥えた根を掘り出します。通常の芋類と違い、デンプンをほとんど含まないのが大きな特徴です。キクイモは農家で栽培されている種もありますが、野生化した種が全国各地で見られます。雑草としてのキクイモは、繁殖力の強さから「要注意外来生物」指定を受けています。
キクイモは生鮮食材としてはマイナーだけど、健康食品として加工された商品は多く流通しているよ。
キクイモのおいしい食べ方
キクイモは晩秋~冬に収穫される根(塊茎)を食べます。キクイモは味にクセがなく、生食でもOKです。スライスしてサラダや和え物にするとシャキシャキ食感が楽しめます。煮物や汁物、揚げ物など、通常の芋類と同じ食べ方をしてもおいしいですよ。岐阜県にはキクイモの粕漬けや味噌漬けが名物になっている地域もあります。
セイヨウカラシナ
開花時期 | 3月~5月 |
旬の時期 | 11月~2月 |
セイヨウカラシナ(西洋芥子菜)は、もともと食用野菜として伝来した種が野生化した植物です。全国の河川敷や荒れ地などで群生した姿が見られます。セイヨウカラシナは菜の花(アブラナ)と同じアブラナ科の植物であるため、見た目は菜の花とそっくりです。開花時期も似ています。独特の辛味と香りを持ち、種子はカラシ(和辛子)の原料になります。
セイヨウカラシナを栽培する場合、春植えと秋植えの2種類があります。春植えは春~初夏、秋植えは晩秋~冬が収穫時期です。
セイヨウカラシナは害虫被害が少なく、晩秋~冬と収穫時期も長い秋植えがおすすめだよ。
セイヨウカラシナのおいしい食べ方
セイヨウカラシナの葉は、おひたしや油炒め、漬物が定番です。漬物はセイヨウカラシナの香りと絡みを活かすために、浅漬けや塩漬けがおすすめですよ。5月~6月に収穫する種子は、マスタードに使えます。
セリ
開花時期 | 7月~8月 |
旬の時期 | 2月~4月 |
セリ(芹)は「春の七草」に数えられるほど、古くから親しまれてきた野草です。田のあぜ道や休耕田などの湿地に群生しています。独特の香りと風味が好まれ、昔から食用野菜として栽培されてきました。「春の七草」という名前から春の野草というイメージがありますが、セリの開花時期は夏、旬の時期は冬~早春です。
セリは新鮮な野菜が不足しやすい冬季に収穫できる貴重な野草です。特に寒冷地では、冬の食卓に欠かせない香味野菜とされていました。
宮城県の「せり鍋」、秋田県の「きりたんぽ鍋」のように、寒冷地にはセリが具材として欠かせない冬の郷土料理がたくさんあるよ。
セリのおいしい食べ方
セリの若い茎葉は古くから冬野菜として親しまれ、鍋料理の具材として用いられてきました。せり鍋やきりたんぽ鍋では、茎葉だけでなく根も使われています。セリの香りは肉の臭味消しにもなるため、鴨鍋のような肉がメインの鍋料理にも欠かせません。セリの茎葉は、おひたしや酢味噌和えにしてもおいしいですよ。春の七草の1つでもあるため、1月7日には「七草粥」の具材として食べられています。
ナズナ
開花時期 | 2月~6月 |
旬の時期 | 2月~6月 |
ナズナ(薺)は「春の七草」の1つで、道端、田畑、荒れ地などと、身近な場所に生えている野草です。花の下についている実が三味線のバチに似ていることから、「ぺんぺん草」という別名がつけられています。「ぺんぺん」は三味線を弾くときの擬音語です。雑草扱いされることが多い野草ですが、古くから冬季にとれる貴重な野菜として扱われていました。
開花期のナズナを日干ししたものは、生薬となります。解熱、下痢、便秘、目の充血など、多くの薬効を持つ薬として用いられているんですよ。
ナズナのおいしい食べ方
ナズナは冬~春、花茎が伸びる前の若葉を食べます。食べ方は七草粥が有名ですが、おひたし、和え物、汁物の具材、天ぷら、漬物にしてもおいしいですよ。おひたしや和え物にするときは、調理前にしっかりアク抜きしておきましょう。
フキノトウ
開花時期 | 2月~3月(フキの蕾) |
旬の時期 | 2月~3月 |
フキノトウ(蕗の薹)はフキのつぼみで、晩冬~早春に旬を迎える日本の野草の代表格です。天然のフキノトウは雪解けの時期に芽吹くため、地域によって収穫時期が異なります。フキノトウはつぼみの状態によって、味が大きく変わるのが大きな特徴です。つぼみが固く閉じた状態なら苦味はほとんどありませんが、花が咲いた状態だと苦味が強く出るので注意しましょう。
フキノトウのおいしい食べ方
フキノトウの定番は天ぷらやおひたし、和え物です。特にフキノトウの天ぷらは、早春の山菜料理の定番とされています。フキノトウがたくさんある場合は、茹でて細かく刻んだフキノトウを、味噌やみりんと一緒に炒めて作る「ふきのとう味噌(ふき味噌)」がおすすめです。フキノトウはアクが強いため、調理前にしっかりアク抜きしておきましょう。
食べられる野草まとめ
食材が少なく飢えることも多かった昔、食べられる野草は大変貴重なものでした。薬草となる種類もあるため、「人々の命と健康を守る」という重要な役目を果たしていたのです。栄養も薬効もある野草は、まさに自然の恵みといえますね。上手に活用して、栄養と薬効、そして季節感たっぷりの食卓を実現しましょう。
キクイモの主成分は「天然のインシュリン」と呼ばれる成分イヌリンを含む食物繊維です。このため美容・健康面での効果が期待されています。