野草の美味しい食べ方【天ぷら】
天ぷらは、野草の食べ方の定番です。揚げることでアク抜きをしつつ、特徴的な香りは衣の中に閉じ込められます。油を使うため手間がかかるイメージを持たれやすいですが、下処理の必要はほとんどないのが嬉しい点です。また、表面に毛が生えていたり筋があったりしてやや食べづらい野草も、天ぷらにすると美味しく食べられるようになります。
おすすめ野草①ハルジオン
ハルジオンは、春から夏にかけて花を咲かせる野草です。花は中央が黄色く、その周りに白く細い花弁が生えています。食用として利用されるのは、主に葉や若い茎です。しかし天ぷらにすると、なんと花も含め全草が食べられます。口に入れるとサクリとした食感とともに、春菊やフキに似た爽やかな香りが広がりますよ。
ハルジオンの見分け方
ハルジオンによく似たヒメジョオンという植物があります。どちらも食べられる野草ですが、ヒメジョオンのほうがやや苦みがあります。見分けるためには葉のつきかたを見ましょう。ハルジオンの葉が茎の周りに巻くように生えているのに対し、ヒメジョオンはまっすぐ伸びています。ほかにも、茎を折るとハルジオンは中に空洞があります。
おすすめ野草②ツワブキ
ツワブキは、冬の花として親しまれています。一方で、茎が美味しく食べられる野草でもあります。さっとゆでて皮をむいてから天ぷらにすると、香りがたっぷりと詰まった美味しい一品のできあがりです。葉も食べられるものの、茎に比べると苦味が強く食べづらさが目立ちます。こちらは、下処理として一度ゆでてから佃煮にするのがおすすめです。
ツワブキの見分け方
ツワブキとよく似た植物に、野菜として栽培されているフキがあります。こちらもツワブキ同様、しばしば野生化したものが野草としてみつかります。見分け方のポイントは、葉のツヤです。ツワブキはつるりとしてつやがあるのに対し、フキはざらりとしてツヤや光沢がありません。フキもツワブキと同じ食べ方ができます。
その他のおすすめ野草
- タンポポ
- ノビル
- ツルナ など
野草の美味しい食べ方【炒めもの】
油とよく合う野草は、炒め物にするのもおすすめです。天ぷらが香りを閉じ込めるのに対して、炒めものは油に香りと旨味が溶け出します。さらに、高温かつ短時間で加熱することで、アクが減り食べやすくなります。肉類やかつおぶしなど旨味が強いものとあわせると、野草の特徴がより際立つでしょう。
おすすめ野草①オオバコ
オオバコは、ちょっとした空き地からブロック塀の隙間までどこにでも生えている植物です。茎は硬く根は苦みが強いため、食べるのは葉です。油との相性がよく、炒め物にすると風味が引き立ちます。また栄養価がとても高く、乾燥させたものが栄養サプリメントやダイエット食品として利用されることもあります。
オオバコの見分け方
オオバコには、ツボミオオバコ・ヘラオオバコなどよく似た植物がいくつもあります。しかしどれも、葉を見ることで簡単に見分けがつきます。オオバコの葉はつるりとしてつやがありますが、ツボミオオバコの葉は全体が毛でおおわれており、またヘラオオバコは細長い葉が特徴です。どれも同じ食べ方ができるため、野草を見分けたことがない人でも挑戦しやすいですよ。
おすすめ野草②タンポポ
タンポポは、春になると黄色い花を咲かせる道端の野草の代表です。ありふれた植物ですが、実は全草が食べられる便利な野草です。特におすすめの食べ方が炒め物で、茎や葉は塩とバター・根はしょうゆとごま油で炒めるとご飯によくあいます。また花は、色合いを生かして天ぷらやサラダなどに利用されます。
タンポポの見分け方
タンポポにはさまざまな仲間がありますが、どれも同じ食べ方ができます。また、タンポポとそっくりな花を咲かせるノゲシも、下処理をしてからおひたしや炒め物で食べられます。タンポポとノゲシの違いは、葉の付き方です。タンポポの葉は根本付近から生えている一方、ノゲシの葉は茎の途中からも伸びています。
その他のおすすめ野草
- ツワブキ
- オオバコ
- ノビル など
ボタニ子
食卓の主役から、あると嬉しい副菜まで。いろんな形で野草が食べられるのは嬉しいわね!
ボタ爺
おっとまだまだ。野草の中には、薬味やデザートとして楽しめるものだってあるんじゃよ。
野草の美味しい食べ方【薬味】
野草の中でも強い香りを持つものは、薬味として利用することもできます。野菜に近い香りを持つものや栽培品種に近いものが特におすすめです。一度に利用する量が少ないぶん採取の手間もかからないため、日々の食卓に気軽に野草を取り入れられますよ。
おすすめ野草①ノビル
ノビルは、ニラやネギによく似た香りを持つ野草です。葉を刻んで薬味として散らしたり、球根や茎を甘酢につけてピクルスにしたりすると、少量ずつ長く楽しめます。また、ノビルの香りは油との相性もよいため、ノビルパスタや中華炒めなど食卓の主役にすることも可能です。
ノビルの見分け方
ノビルの葉は、園芸品種のタマスダレやスイセンとよく似ています。しかしタマスダレやスイセンは全草に強い毒性があるため、口にすると危険です。確実に見分けるためには、茎をちぎって匂いをかいでみましょう。ノビルにはニラに似た強いにおいがありますが、タマスダレやスイセンにはありません。また、ノビルの球根は白くて丸いものの、タマスダレやスイセンの球根は茶色い鱗片状をしているため、そこでも見分けられます。
おすすめ野草②シソ
シソは、栽培品種としてもよく知られている植物です。赤褐色の赤紫蘇と緑色の青紫蘇があり、どちらも薬味として広く利用されてきました。畑や庭などで栽培されていることが多い植物ですが、とても丈夫なうえに根や種からも増えるため空き地や道端に生えていることも少なくありません。野生のものも栽培種と同じように、薬味として気軽に利用できますよ。
シソの見分け方
大葉とも呼ばれるアオジソは、アジサイの葉とよく似ています。しかしアジサイの葉には毒性があるため、口に入れてはいけません。必ずシソ独特のさわやかな香りを確認してから採取するようにしましょう。また、アオジソそっくりの葉をつけるカラムシという植物もあります。こちらも香りはありませんが、毒性もなく全草が食べられます。
その他のおすすめ野草
- サンショウ
- ミツバ
- ハマダイコン など
野草の美味しい食べ方【デザート・飲み物】
野草をデザートにすると聞くと、ハードルが高く感じる人もいるかもしれません。しかし、身近なところにデザートに使える植物はたくさん生えています。例えば、そのまま食べられるほど甘いものや、炒って煮出すとおいしいお茶になるものなどがあげられます。
おすすめ野草①クサイチゴ
クサイチゴは、春になると赤く汁気の多い実をつける野草です。完熟した実はとても柔らかく、そのままでも甘酸っぱいおやつとして食べられます。しかし栽培種のイチゴと比べると種が少し大きいため、人によってはやや気になるかもしれません。そんなときは、鮮やかな色を生かしてジャムや果実酒などにするとよいでしょう。また、中に虫が入っている場合があるため、しばらく水につけてから食べるのがおすすめです。
クサイチゴの見分け方
クサイチゴとよく似ている植物に、ヘビイチゴがあります。ヘビイチゴに毒性はありませんが、食感がモソモソとするうえに甘みもないため、あまりおすすめできません。見分けるためには粒を見ます。クサイチゴは芯がなくやや大きめの粒が固まっているのに対し、ヘビイチゴは丸い芯の周りに小さな粒がついています。
おすすめ野草②エノコログサ
エノコログサは、猫じゃらしとも呼ばれる身近な植物です。猫のしっぽのようなふわふわした頭には、小さな実がたくさんついています。食べられるのは、秋に茶色く熟した実の部分です。炒った実を煮出すと、麦茶に似たとても香ばしいお茶になりますよ。炒りゴマと同じように使うこともできるため、薬味にもおすすめです。
エノコログサの見分け方
イネ科の植物は、先端が穂になっている植物が多数存在します。多くの穂は中にある実が食べられますが、オヒシバなど小さすぎて食べるのが難しいものも存在します。まるまると太った穂ほど大きな実がたっぷりと付くことから、エノコログサとほかの植物を見分けるためにもよく穂をみることが大切です。また、犬には毒となるため誤飲には気をつけてください。
その他のおすすめ野草
- ヨモギ
- ミント
- クマザサ など
ボタニ子
甘いおやつに利用できる野草もあるなんて驚きね!これからたくさん食卓に野草を取り入れなくちゃ!
ボタ爺
しかし野草の中には、アク抜きを行わなければ食べられないものもあるからのう。正しい下処理のやり方を見ていこうじゃないか。
出典:写真AC