甘味が強い冬野菜
冬に食べ頃を迎える野菜は、甘みが強いという特徴があります。これは、野菜が寒い冬から身を守っているため。砂糖水が0度では凍らないのと同じで、自ら糖度を増すことで凍りにくくしているのです。食べ方を工夫することで、たくさん食べられるようになりますよ。
冬野菜は油と合わせよう
明治時代の薬剤師であった石塚左玄は、「春は苦味、夏は酢の物、秋は辛味、冬は油。季節に適した食べ方をしなさい」という言葉を残しています。寒さに打ち勝つ体作りのためにも、冬はこってりとした味わいが向いています。煮物やシチューなど、しっかり目の味付けにしてあげると、子供でも食べやすくなります。
春の七草にも冬野菜や山菜がずらり
1月7日に食べる七草粥は、年が明ける頃にいち早く芽吹く植物たちで無病息災を祈るため、江戸時代に広まった習慣です。また、あっさりとした食べ物であるお粥を食べることで、お正月の食べ物で疲れた胃を休めるという大切な役割もあります。
春の七草は冬野菜の宝庫
七草粥に使う春の七草、全部言えますか?「セリ(芹)・ナズナ(ぺんぺん草)・ゴギョウ(ハハコグサ)・ハコベラ(ハコベ)・ホトケノザ(タビラゴ)・スズナ(蕪)・スズシロ(大根)」です。どれも冬野菜や山菜ですね。寒い冬を乗り越えるため、身の回りにある食材を積極的に利用していたのです。
1月が旬の青野菜1:白菜
寒い冬の青野菜といえば、白菜です。生はシャキシャキした食感が楽しめますが、煮込むとすぐに柔らかくなります。鍋物の定番食材として愛される白菜ですが、実は日本で定着したのは20世紀に入ってから。白菜を含むアブラナ科は非常に交雑しやすいため、なかなか結球白菜の種が定着しなかったそうです。
学名 | Brassica rapa |
和名 | ハクサイ |
旬 | 11月~2月 |
白菜の食べ方と言えばやっぱり鍋
寒い冬には、なんと言ってもおすすめの食べ方は鍋物。煮込み始めの段階で鍋に入れておくと、いろんな食材から出た旨味をたっぷりと吸い込んでくれますよ。その他、サラダや炒め物にも向いています。また、昔ながらの白菜漬けやキムチなど、お漬物の定番食材でもありますね。
白菜のミルフィーユ鍋のレシピ
- 1:1枚ずつはがした白菜に豚バラスライスを敷きます。同じことを4~5回繰り返します。
2:5cmほどの幅に切り、断面を上にして鍋に並べます。
3:白菜の半分ほどの高さまで水を注ぎ、顆粒だしと塩を加えます。
4:蓋をして加熱し、沸騰したら弱火にして10分ほど煮込めば完成です。
1月が旬の青野菜2:春菊
キクナとも呼ばれる春菊も、寒い冬が食べ頃です。緑黄色野菜の中でも特に多く含まれるカロテンを筆頭に、ビタミンB群が多く含まれているのが特徴です。特に、ベーコンなど脂の多い食べ物と一緒に食べるのがおすすめですよ。
学名 | Glebionis coronaria |
和名 | シュンギク |
旬 | 11月~2月 |
香りの強さを活かして味の濃い料理に
春菊と言えば鍋、という人も多いでしょう。シンプルな寄せ鍋の他、すき焼きに入れるのもおすすめ。甘じょっぱい味付けが春菊とよくあう上に、他の食材の味も引き締まります。他の美味しい食べ方としては、柔らかい葉の部分をサラダにしたり、豚肉や卵と一緒に炒めるのもいいですね。
春菊とベーコンのサラダのレシピ
- 1:春菊は若い葉の部分をちぎり、水気を切っておきます
2:細切りにしたベーコンを、フライパンでカリッとなるまで加熱します
3:ベーコンを脂ごと春菊にかけ、好みで味付けポン酢をかけて完成です
1月が旬の青野菜3:キャベツ
キャベツは大きく分けて、みっしりと締まった冬キャベツ・柔らかく葉の厚い春キャベツ・中間の性質を持つ高原キャベツ(夏秋キャベツ)に分類されます。年間を通して様々なキャベツを手に入れることができますが、一般的には生産量の多い冬がキャベツの食べ頃だと言われています。
学名 | Brassica oleracea var. capitata |
和名 | キャベツ |
旬 | 11月~3月(冬キャベツ)・4月~6月(春キャベツ)・7月~10月(高原キャベツ) |
冬キャベツは身がしっかりしているので煮物向き
冬キャベツは特に煮物に向いており、特にロールキャベツは特性を活かした食べ方と言えます。ロールキャベツを作るためには破れないように剥がす必要がありますが、まるごとラップで包んで10分ほど電子レンジにかけると剥がしやすくなります。生で食べるときには、調味料などでしんなりさせるとかさが減って食べやすくなります。
キャベツの和風コールスローのレシピ
- 1:キャベツを細切りにします
2:ポン酢を回しかけて軽く混ぜたら、2~30分寝かせます
3:マヨネーズを少々入れて更に混ぜます
4:胡椒・もみのりを加えて完成です
1月が旬の青野菜4:ほうれん草
寒さに触れると甘みが増すほうれん草も、寒い冬には欠かせない食材です。特に、鉄分と吸収を促進する葉酸を同時に多く含むのが特徴です。ただし、尿道結石等の原因となるシュウ酸も多く含むため、生で食べられる品種以外は必ず加熱する必要があります。その際には下茹でをするか牛乳と一緒に加熱するといいでしょう。
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学名 | Spinacia oleracea |
和名 | ホウレンソウ |
旬 | 12月~1月 |
根本の赤いところも美味しい
ほうれん草は、甘みが葉先だけでなく根元まで詰まっています。そのため、調理するときは根元を切り落とすのではなく、十字の切込みを入れてよく洗ってから使うのがおすすめ。下茹でするコツは、茎と葉を時間差で入れること。茎の側を先に入れて、30秒経ってから葉を入れて、更に30秒茹でればもう食べ頃です。
ほうれん草の白和えのレシピ
- 1:あらかじめ、豆腐の水切りをしておきます
2:ほうれん草は、茹でて一口大に切ります
3:豆腐に味噌・砂糖・醤油・ごまを加えて和え衣を作ります
4:ほうれん草を加えて完成です。ゆでた人参など、好みの食材を加えるのもおすすめです
1月が旬の青野菜5:水菜
水菜は、独特の風味を持つ冬野菜です。古くから肉や魚の臭み取りとして利用されてきましたが、生でも美味しく食べることができるためサラダ用の野菜としても人気です。別名の京菜が示すように京野菜の一種で、関西地方では古くから利用されてきた食べ物です。
学名 | Brassica rapa |
和名 | ミズナ |
旬 | 12月~2月 |
加熱に強いので鍋物向き
加熱してもシャキシャキとした食感が失われにくいのが、食材としての大きな魅力です。生で食べる場合は、千切りキャベツのように揚げ物に添えるのもおすすめ。露地栽培のものは味が濃いものの、茎が太くやや硬いため、生で食べる場合は塩もみをするとよいでしょう。
水菜のペペロンチーノのレシピ
- 1:水菜はざく切りに、にんにくは薄切りにしておきます
2:フライパンににんにく・種をとった唐辛子・油を入れ、弱火で香りを出すように温めます
3:にんにくがカリッとしてきたら取り出し、水菜を加えてさっと炒めます
4:塩を加えたらにんにくを戻し、ひと混ぜしたら完成です
出典:写真AC