羽根のついた種を持つ植物
①イロハカエデ
プロペラのような二枚の羽
カエデ科の植物の種には翼果(よくか)とよばれるプロペラのような羽がついており、プロペラの力で滞空時間を伸ばし、より遠くへ種を飛ばせる仕組みになっています。品種によって大きさや角度が違いますが、対称的な形で一対であることがカエデの翼果の特徴です。
モミジとカエデは同じもの?
一般的にモミジやカエデと呼ばれている品種はどちらもカエデ科の植物で、分類上は同じものです。日本の園芸界では、葉の切れ込みが深く数の多いものが「モミジ」、切れ込みが浅く前述のモミジと比較して丸みのある形状の葉のものを「カエデ」に分類しています。
ボタニ子
ボタ爺
カナダの国旗にもあるように、海外ではどちらも「maple」と呼ばれ、モミジもカエデも同じ認識じゃな。
②ウバユリ
薄い和紙のような羽に包まれた種
ユリ科の植物は球根で増えるイメージがありますが、花のあとにできる種でも増やせます。ウバユリの種とても軽く、周囲には薄い和紙のような羽がついているため、風に乗って大量の種が効率よく拡散されます。
ウバユリの名前の由来
ウバユリの名前の由来には、花が開くころには葉(歯)がなくなっているからという説や、葉(歯)がなくても女性のように花を咲かせる姿を老女にたとえたという説があります。これは、ウバユリの生育段階で最初に葉が育ち、花が咲くころにはよく葉が枯れていることからきています。
ボタニ子
ウバユリの種って発芽率もよくないし、花が咲くまでに5年以上もかかるんだって。
ボタ爺
それを補うために大量の種を作るんじゃ。一株のウバユリからは一万個以上の種が採れるんじゃよ。
③ニワウルシ
ブーメランのような羽のついた種
ニワウルシの種には大きなブーメランを思わせる羽がついています。羽の両端は微妙にねじれており、落下の軌道が真下ではなく、少し離れた場所に落ちるのがこの種の特徴です。種の色は黄緑~赤~茶色と変化するうちに水分が抜け、より風に飛ばされやすくなります。
特定外来種としての危険性
ニワウルシは大量に種をつけて周囲に拡散させることから、在来種を脅かす存在になっています。過去には蚕のエサとして人々の生活に役立つ植物だったのですが、近年ではその役目を終えてしまいました。発芽率も高く成長が早いのも、駆除対象となった要因といえるでしょう。
ユニークな種を探してみよう!
紹介した種のほかにも、クロワッサンのようなカラスウリの種、メガネを思わせるヌスビトハギの莢、虫の幼虫のようなアオツヅラフジの種など、ユニークなの形状の種はたくさんあります。「どうしてこんな形に進化したんだろう」と考えながら観察してみてはいかがでしょうか。
秋に紅葉する葉っぱを見て、全部モミジって呼んでたかも~。