青野菜とは
一般に「青野菜」または「青物野菜」というと緑黄色野菜、そのなかでも特に濃い緑色の野菜を指します。これは昔から、日本では緑色を青色と表現することがあったためです。濃い緑色の野菜というと、ホウレン草、小松菜、ブロッコリーなど数種類の野菜の名前が出てきますね。一方で本当に青い色、もしくは水色をした野菜はほとんど知られていません。
本当に青い野菜は存在する?
本当に青い色をした野菜や果物は存在するものの、非常に少ないです。食べ物全般で見ても青色または水色は珍しいでしょう。実際に探してみても、着色料で青く色づけした物が多く、もとから青い食べ物はほとんど見られません。反対に赤や黄色といった明るい色の野菜や果物は非常に多いです。トマトやオレンジ、バナナなど、いくらでも思いつくでしょう。しかし、これにははっきりとした理由が存在します。
青・水色の野菜や果実が少ない理由とは
理由①青色は目立たない
自然界で青色や水色は「目立たない色」とされています。これは青色や水色は虫や鳥からすると、見つけにくい色だからです。植物の多くは鳥や虫を媒介として受粉して結実し、子孫を増やします。そこで植物は虫や鳥に見つけてもらい、花粉を運ばせるために、花や果実を赤、黄、オレンジなど目立つよう華やかに色づくのです。一方、青や水色は鳥や虫には見つけにくい色とされています。
だから鳥や虫に花粉や種を運んでもらうことで子孫を増やす植物には、青い花や果実は少ないんだね。
青野菜や青果実が少ない理由②食欲が減退する
花や果実だけでなく、食べ物全般で見ても青や水色をしたものは珍しいとされています。青や水色は食欲を減退させる色とされているからです。自然の食材のなかで、青や水色をしたものはほとんどありません。青いウロコを持つ魚でも、肉の色は白か薄いピンク色です。このため人間の進化の過程で「青は食材の色ではない」という概念が、本能にすりこまれていったと考えられています。
青い食材はほとんど存在しない事実が、「青は食材の色ではない」という概念を生み、本能的に食欲を減退させる色と認識されたのでしょう。
人気の青い食材がある
青い食べ物や飲み物の種類は少ないですが、人気が高いものもあります。夏の季節に登場する青いソーダ水やかき氷(ブルーハワイ)です。ソーダ水やかき氷の冷たさに加え、青い色が清涼感を与えます。このため暑い夏でもおいしく飲んだり食べたりできるのが人気の理由でしょう。
青は食欲を減退させる色ということを活かして、ダイエットに利用する人もいるんだよ。食欲を減退させることで、食べる量を自然に減らすんだ。
青い野菜・果実2種類
青い野菜・果実の種類①青トウモロコシ
青トウモロコシは、アメリカの先住民族に代々受け継がれてきた野菜です。別名をホピブルーコーン、またはブルーコーンといいます。珍しい青色の果実と高い栄養価、特にタンパク質が豊富なのが大きな特徴です。果実が若いうちが食べ頃なので、果実の色がほんのり青く色づいたときに収穫します。完熟したものは乾燥させてトウモロコシ粉にするのが一般的です。
現地では、青トウモロコシから作ったトウモロコシ粉をトルティーヤの原料によく使っています。
青トウモロコシは珍しい青色をしていることから、飾りとして利用されることも多いんだよ。
青い野菜・果実の種類②青クワイ
青クワイはオモダカ科の水性野菜クワイ(慈姑)の仲間です。青い外皮、サトイモに似た丸い形状、長く伸びた芽を特徴です。栗や芋のような食感がありますが独特の苦味があるため、人によって好き嫌いが分かれます。見た目がよいことと、長く出た芽が「目が出る」に通じることから、縁起物の野菜としておせち料理によく用いられています。
青・水色に近い色の食材4選
青・水色に近い食材①紫カリフラワー
紫色のカリフラワーです。複数の品種があり、おもに流通している品種には「バイオレットクイン」「紫雲」「パープルフラワー」などがあります。この種の紫色はアントシアンという色素成分によるものです。加熱調理すると青く、酢で調理すると赤く変色するというおもしろい特徴があります。
青・水色に近い食材②ナス
ナスは夏野菜の代表格です。非常に種類が多く「青ナス」と呼ばれている品種もありますが、淡い黄緑色をしています。ナスの外皮の濃い紫色は、アントシアンという色素成分によるものです。アントシアン色素は水溶性のため、油で炒めるなどの色止め処理をせずに煮ると、煮汁が青く染まります。
青・水色に近い食材③ブルーベリー
ブルーベリーは名前が示すとおり、青いフルーツの代表格です。濃い青紫色の果実と甘酸っぱい風味から生食のほか、お菓子の材料やトッピング、ジャムなどによく利用される果実です。同じ品種の花粉では受粉しないという特徴のため、栽培する際は複数の品種を混植させる必要があります。
青・水色に近い食材④ブドウ
ブドウは非常に種類の多い植物です。巨峰やデラウェアのような濃紫色の外皮を持つ品種もあれば、マスカットのような緑色の外皮を持つ品種もあります。しかし果肉はどちらも淡緑色です。品種によって外皮のほか、果実の味や形、大きさ、収穫時期が異なります。食べ方もいろいろあり、生食のほかにもジュース、ジャム、フルーツソース、ピューレ状にしてシャーベットやムースに仕上げてもおいしいです。
青い食材を活用しよう
青は食欲を減退させる効果があるため、料理で使用されることが少ない色です。しかし差し色として使うなど、上手に利用すれば素敵な食卓を演出できるでしょう。青色や水色をうまく取り入れて、家庭の食卓のセンスアップに役立ててくださいね。
青色や水色の花や果実は、空を飛ぶ鳥や虫から見ると空の色と同化してしまうので、わかりにくいんですよ。